森の香り* 魂のヒーリングセラピー

愛知県小牧市で、ハート(感情・心・魂)の声を聞くカウンセリング、傾聴、本来の自分と心身の安らぎをサポートするヒーリング・アロマテラピーヒーリングを行っています

叔父さんは山だったんだ

昨年の春、岐阜の小高い山の開けた場所の
新しくできた病院に、
もういつ何があってもおかしくない叔父さんが入院していた。

病院の駐車場は広く、周りは木々に囲まれていて、
その場所から見下ろすと、町が見えた。

その日は、今日のように爽やかで、
良い天気の日だった。


   image53.jpg

私が中学校くらいまで、
お盆とお正月には、
母の実家である叔父さんの家に、
帰省するのが常だった。

親戚皆がその家に集まり、
お酒の大好きな叔父さんは、
夕食どきには、嬉しそうにユーモアたっぷりに
栓抜きで音を鳴らしながらビール瓶を片手に持ってきて
ニコニコしながらお酌をするのが常で、
その映像が今も記憶に残っている。


母から聞いていた状態では、
これが叔父さんに会う最後になるかもしれないと
覚悟を決めて、
病室の扉を開けた。

横になっているかと思ったら、
ベットに座っていたので、ホッとして、
母からずいぶんと痩せてしまった、と聞いていたけど、
思ったほどでもなくて、少し安心した。

叔父さんの嫁の叔母さんと、
私からみていとこのお姉ちゃんがいて、
お姉ちゃんに会ったのは、何年ぶりだったろう。

叔父さんはこんな時でも、
ユーモアたっぷりで、
以前と何も変わらない叔父さんのままだった。

叔父さんは座っていたけど、
ゆっくり横になって、
唐突に、「山が見たい」と言って、窓の外を見た。

それは、私たちが居ることも忘れてしまったような
唐突さだった。

窓の外には、遠くの方に、
雪が残った雄大な山が見えた。

その時、
叔父さんはもうこの世界とあちらの世界の中間にいるみたいだなと思えた。


その時が、叔父さんに会った最後になった。

私の中では、私の叔父さんに対するイメージは、
それ以前からどうしてだか、山だった。

いくつもの山を越えたところに母の実家はあり、
家の前にも山があったし、
そういったイメージがあるだからだろうと思っていたけど、
最後の最後に、私の叔父さんに対するイメージは、確信になった。

叔父さんは、大工で家族を養い、
山と共に生き、
最後まで山を好きでいたんだ。

人は亡くなる前に、何かメッセージを残してくれるものだと思う。

叔父さんは、深夜、誰も居なくなった病室で、一人亡くなった。

あの時、山を見たい、と言った叔父さんの心は、
山の雄大さに、静けさに、重なっていたのだと思う。

もうこの世界に未練はなく、
潔く、きっぱりと、自然に還っていく、
そう思わせられるものがあった。

人を笑わせることが好きだったけれど、
山が好きで、山の自然のように、
ちょっと厳しくもあった叔父さんらしい、
旅立ち方だったように思う。

あの田舎の思い出は、
叔父さんと共にはもう一生積み重ねることができなくなってしまったけれど、
叔父さんがまとっていた山と共にあったあの雰囲気は、
親戚が集まれば、
その場所でまた感じられるはずだと思う。

私が住んでいるこの場所ではなかなかあの独特な感じは
思い出せないけれど、
あの場所でなら、また感じられるだろう。

変わらないものは何一つないけれど、
私は、叔父さんが残してくれた、
山と共にあるあの厳しくも何かに守られていた感じを、一生大切に、
忘れないでいたいと思う。




スポンサーサイト
[ 2019/02/18 15:46 ] | TB(-) | CM(0)