森の香り* 魂のヒーリングセラピー

愛知県小牧市で、ハートの声を聴く、占いカウンセリング、自然で健やかなご自身をサポートする、レイキ&オーラヒーリングを提供しております

野良猫がやってきた

今年の1月のある日、
玄関の扉の向こうに、
ちょこんと座る明らかに猫ちゃんと分かるシルエットが
こちらをじっと窺(うかが)っていた。


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私は思わず、「えっ!」と叫んだ。

これまで、玄関から少し離れたところでこちらを窺う猫ちゃんを見掛けたことはあったが、
扉のすぐ向こう側に鎮座している猫ちゃんは初めてだったから。

私の声に驚いて、猫ちゃんも一瞬ビクッとして
サッと逃げて行ってしまった。

初めてのことだったので驚いたのは当然だが、
それ以上に、私は嬉しくてワクワクしていた。

そのシルエットから感じられた猫ちゃんの意志の強さのようなものに、
すでに心を打たれていたからだ。

だから、あ~逃がしてしまった。
と残念な気持ちになっていた。

そんなに驚かなくて大丈夫だよ、と少し謝る気持ちで、
猫ちゃんの行方を追って外に出た。

すると、用水路沿いを、とぼとぼ一匹、
長い尻尾を揺らしながら歩き去って行く後ろ姿を見つけた。

私は胸がきゅんとした。

まだ大人とは言い切れないサイズの体で、
この寒空の下、一匹狼で生きているのかと思うと、
すごいなぁという思いがした。


翌々日には、大寒波が来ると予報が出ていた。

大丈夫だろうか、ちゃんと生きて行けるのだろうか、

何もしてやることはできないのだと自分に言い聞かせながら、
また来てくれるだろうかと淡い期待を抱きながら、
後姿を見送った。



その翌日のことだ。

またしても、同じシルエットが玄関の扉の向こう側に鎮座していた。

驚きと、わくわくした気持ちで、今度はゆっくりと近づいて行ったが、
やはり同じように逃げてしまった。

きっと、この寒さの中、お腹が空いているのだろう。
安心して寝られる場所もないのではないか。

もう、現れないかもしれないが、
もしかしたら、お腹の足しにはなるかもしれないと、
鰹節と田作りを細かくして、お水と一緒に玄関の扉に置いておいた。

もしかしたら、飼うことになるかもしれない。

その責任を自覚しての餌やりだった。



私には、かつて、学生の一人暮らしの時から飼っていた猫ちゃんがいた。

19歳になるまで共に連れ添った茶トラのオス猫。

あれから、5年が経とうとしている。



もう十分だと思っていた。

猫の命は、人と比べれば短い。

年を重ねるにつれて、もう先が長くないことの恐さを、
いつも頭の片隅に置きながら、
惜しむように一緒にいるのは、もう嫌だと思っていた。

元気なままで、もっと長く一緒にいたいと思うのは、
人間のわがままでしかない。

病院の先生から、
「これは治らない病気です。」
と、告げられた時が一番悲しかった。

いよいよその時がやってきたことを、
残酷な現実がとうとう目の前にやってきたのだと、
こらえても涙が込み上げてきた。

自分の悲しみに痛む心を守るように、
必死でそのことを受け入れるしかなく、
その後は、覚悟を決めた。

何より良かったと思えたことは、
落ち着いた気持ちで無事に最期を迎えられたことだと思う。

ちゃんと責任を果たせたという思いが救いだった。

だから、もういいと思っていた。


なのに、昨年の冬、
いつの日だったのか記憶は定かではないが、
「また猫を飼うんだ」、
という確信にも似た直感がやってきた。

実は、それよりも以前から、もし今度猫を飼うなら、
こんな名前がいいな、と考えていたりもしていた。

それは、メス猫に似合う名前だった。



しかし、このご時世、何があるか分からないのだから、
諦めの気持ちの方が大きかったように思う。


もし、縁があるならば、自分からそうしなくても
何らかの方法で、飼わずにはいられなくなるはずだと思っていた。


鰹節と田作りが茶碗から消えていたのは、
ほんの、数十分後のことだったと思う。

まさかと思って見に行ってみたら、見事に空になっていた。

やっぱり、私は嬉しくなった。


早速、キャットフードを買いに行き、
徐々に距離を縮めて行けば良い、と気長に思っていたけれど、

猫ちゃんは、始めこそ、シャーと威嚇してきたものの、
案外すんなりと身体を触らせてくれて、身体を摺り寄せてきて、
こちらが離れさせるのが大変なくらいにすぐになついた。

食欲も旺盛で、すごい意志を持って家に一緒に入ってこようとする。

やっぱりもう飼うしかない。



こうして、猫ちゃんは、自らの意志で、安住の地を得た。

逞しく幸運なメス猫ちゃんだ。

用意していた名前で呼ぶと、
ゆっくりと瞼を閉じながら、ニャーと優しい声で鳴いた。

気に入ってもらえたみたいだ。


翌日は、大寒波で、凍えるような寒さだった。


良かった。本当に良かったと思う。


こうして、新しく、猫ちゃんとの生活が始まった。



続きはまたのいつかの機会に・・






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[ 2023/03/15 14:49 ] 猫のこと | TB(-) | CM(-)